ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 964
純ちゃんが僕らの関係にインスピレーションを受けて描いた作品だ。
名前や地名は架空のものを使ってぼかしてはいるけど、全国で公開されるのだからちょっと恥ずかしいものはあるよね。
「実際に知ってるのはほんの一握りですから」
「それでもね〜、匠くんを演じるのは啓くんだしね」
ああ啓くんなんだよね…
小顔で細身の啓くん…顔だって僕なんかが比べものにならないイケメンだ。
これは僕がモデルになっていることは、世間に知られない方が賢明だよね。
「何でも純ちゃんが啓くんを推薦したとか?…」
「ええ、執筆している時から啓くんをイメージして描いていたそうよ…」
僕の実話が元でありながら啓くんをモデルに描くって、どういうことなんだろう。
まあ、見た目は期待されていなかったのは確かだよね。
「私も…まさか花咲夢乃さんが自分の、だなんて思わなかったな…」
「弥生さんは僕ほど掛け離れてはないですよ」
「あらそんなこと無いんじゃない?…啓くんってあの頃の匠くんにどこか似ていると思うけど…」
それは嬉しいけど…それって見た目じゃないことは分かっています;…
「僕は啓くん程、屈折はしていませんけど…」
アイツの育ってきた環境を考えると、それも致し方ないことではあるんだけどね…
「匠くんと啓くんは似てるような気がするよ、母親が2人いるところとか」
「そ、それは…」
「操は本当のこと、まだ知らないんだよね」
「弥生さん、まさか…」
「うん、青山くんからも、鈴田さんからも、話は聞いてたんだ。隠しててごめんね」
「いえ、僕は、自分で結論にたどり着きましたから」