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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 96

「あ、はい。下戸ではありませんが、飲むと直ぐに眠くなっちゃいまして…」
僕は差し出されるグラスを受取りながら、頭をかいた。
今まで酒を飲むと突然に記憶を無くし、気づけば山手線を何周もしていることはしょっちゅうだった。

「ふふ…眠たくなれば横になってもよろしくってよ。さあ杏ちゃん、柏原さんにワインを注いであげて!」
涼香さんの声には、今まで以上に力がこもっていた。

涼香さんに言われ、僕の持つグラスに赤ワインを注ぐ杏さん。
「…ああ言ってる奥様が、実はめっぽう弱かったりします」
「そうですか…」

「大人はうらやましいですね」
「お嬢様はあと3年ほどお待ちください」
香澄ちゃんはまだダメだもんね。
ましてや椿ちゃんが飲むなんて以ての外だよね。
「お嬢様と椿ちゃんのジュースは…どれがよろしいでしょうか…」
杏さんがすっかりお酌係になっておられる。

「匠くんがお酒んを飲めるような歳になっていたんて、ちょっと感動しちゃうな…」
シャンパングラスの泡を見詰めながら、弥生さんがポツリと呟いた…
「そうですね…あの時僕がもっと大人だったら…って考えることあります…」
僕の頭の中で、弥生さんと送った若かりしあの日々が走馬灯のように蘇る…

あの時、本当に僕が大人だったら…横にいる椿ちゃんは純日本人で、弥生さんと三人で生活していたかもしれないんだ……

グラスにそれぞれ飲み物が注がれたことで、涼香さんが立ち上がる。
「準備できたわね?それじゃ…乾杯!」
『かんぱーい』
テーブルの真ん中でみんなでグラスを突き合わせる。

生まれて初めての高級ワインの味。
ソムリエでも食通でもないので『フランスの○○産の××年物のワイン』とか言われてもわからない。
それでも、なんとなく美味しいということだけは…

それが数十万するワインだろうが、コンビニで買えるワインだろうが僕には分からなかったが、美味いということだけは僕にもわかった。
料理長である弥生さんには申し訳ないと思いながらも、料理そこそこに胚は進んでいく… 
「ういっす…僕はホントに香澄ちゃんと巡り会って幸せでぇすぅ〜…」
そんなに強くも無い僕は、強くは無いと聞いた涼香さんよりも早くに、アルコールにやられたのは、どうも紛れもない事実のはようだった… 


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