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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 93

「うわあっ、ごめんなさい!」
「申し訳ありません、今片づけますので…」
メイドの舞ちゃんと純ちゃんが慌てて廊下を走っていくが、僕にはそんなのどうでもよく、ただ目の前の女性…弥生さんに釘づけだった。

「えっ…」
弥生さんも僕の方を見て、その場に立ち尽くしていた。
「あ、あの、お二人とも…」
異様な事態に、さすがの涼香さんも杏さんも戸惑うばかりだった…

「お知り合い…なのよね?…」
恐る恐るといったように、言葉を続ける涼香さん…

「え、ええ…匠くんとは…もう10年近くも前の話しです…」
ああ…そんなに月日は経ったのですね…

「10年前といえば確か、弥生さんが旦那さんの転勤でフランスに行かれた時でしたはよね…」
…弥生さんはフランスに行っていたんですか…

「それから旦那さんと離婚なされて…女手一つでお子さんを育てながら料理の修行をなさったとか…」
…苦労したんですね…でも、お子さんに恵まれてよかった…

「それから偶然に同級生である家の主人とフランスで再会なされて、この家のコック長として来ていただいたのよね…」
そうだった…この家の御主人である和彦さんは、弥生さんと、それに家の母さんとも、高校の同級生だったんだ…

…そう
この目の前にいる緑川弥生さん…彼女こそ、僕の初体験の相手…
まさか、こんなところで出会うなんて…

弥生さんが料理が得意なのは以前から知っていた。
僕が中学生のころ、母さんが倒れ入院、そのとき親父は学校の修学旅行の引率で不在、という大ピンチの中で、料理含め僕らきょうだいの面倒を一手に引き受けてくれたのが弥生さんだった。
そのとき弥生さんが作ってくれた料理の味は、今でもかすかに覚えている…

自然と口の中に唾液が湧いて来る。
散乱した料理からは、いい香りが漂ってきていた。

「偶ぅ〜然ってあるぅんでぇすねぇ〜素敵ぃでぇすぅ〜ね♪」
おっ…香澄ちゃん、いたんですよね。
「再会を祝してぇぇ食事にしましょぉぉよぉ〜」
…君は腹が減っただけなんじゃないの?

「それもそうね。弥生さん、何か別の支度は出来る?」
「は、はい!本当に申し訳ないことをしてしまって…」
「気になさらないで、支度が出来たら弥生さんも同席するといいは…」
「奥様…」
「よかったらお子さんも連れてらっしゃい…10歳にもなれば大人しくできますはよね。」

…弥生さんの子供って、10歳にもなるか-
ってことは、僕と別れてから直ぐに出来たお子さんなんだね…

…そのお子さんの父親は、離婚した旦那さんなのか、はたまた僕なのか、現時点ではわからない。
弥生さんは「すぐに別のメニューを作って持ってくる」といい、足早に部屋から去っていった。

「失礼しました」
「い、いいえ」
涼香さんが少し照れたような表情で僕に向き直る。
「あ、あの、匠さんと、弥生さんは、10年前、どのようなご関係だったか、聞いても宜しいかしら…?」

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