ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 910
「ここですよ〜」
恋ちゃんが指差す先には『衣装室』というプレートが見える。
ドアを開けると部屋の中はクローゼットが並ぶ。
「あ、どうもお久しぶりです」
その中で作業する私服姿の蘭ちゃん。
「お客様が来るから準備だよ」
「はい、キチッとフォーマルで決めるか、堅苦しくなくカジュアルにするかどうしましょう?」
「向こうはどういうつもりで来るのか蘭ちゃんは知ってる?…」
逆に香澄が尋ねる…
「はい、昼食をご一緒にとは伺ってはいます…花咲さんは今日一日オフだそうですは…」
それじゃあ、ゆっくりしていけるってことだね…
「昼食ならカジュアルな服でいいかしら?…変に畏まるのも返って悪いし…」
まあ普段着に近ければこれからここに住むことになるだろう彼女にとっても良い印象を持たれるのではないかな。
「ならこのままでも良いのかもね」
「そうですねぇ、せっかくだからメイド勢も私服になったらどうかなぁ、その方が昼食会も楽しめるでしょ」
恋ちゃんが提案する。
メイドちゃんたちの私服かぁ〜なんだか僕がワクワクしてしまうじゃないですか…
「それじゃ匠さんは着替えましょうね…」
「へぇ?…僕はこの格好のままじゃダメなの?…」
「ダメじゃないですけど、せめて下着は取り替えましょ…昨日から同じものを穿いている訳だし…」
「おおぅ」
「匠さん、それはちょっとね〜」
「仮にも下着メーカーに勤める身ですもんねぇ」
…うぉおい、ココで集中砲火とは聞いてないぜ。
確かにそうは思っていたけどさぁ。
「もちろん下着もたくさんあります、どうぞお選びください」
蘭ちゃんは笑顔で僕に差し出す…