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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 894

「庭師の方も雇ってないんだね」
「今は時々依頼する程度で、常駐まではしてませんので」
杏さんが懐中電灯で照らしながら案内してくれる。

離れの住居はあの頃と変わらない。
持ち主が入れ替わっただけで、2人暮らしはそのままだからか。

「伊藤さんから…杏ちゃんには連絡あるの?…」
香澄は何気を装い聞いているのが僕には分かった…

「いえ、伊藤さんとはこの家にいる時からそれ程の付き合いはありませんでした…、まあ奥様に遠慮してのことではありましたけど…」

「お母様が…」
和彦さんとは違い、涼香さんは香澄の実の母親。
伊藤さんが香澄の父親になるのだが、どうも本人には未だ実感がないようだ。

涼香さんは和彦さんに沸いたロマンスの話を快く思って、応援しているようだ。
伊藤さんはどうかはわからないが。

離れの住居の前に着き、杏さんがドアを開ける。

ギィーと重たい音を立てながら、それはゆっくりと開く。
まるで西洋のお化け屋敷の館みたいだと、毎回思っちゃうんだな…

「この離れの館も、西洋から移設したんだろう?…」
「ええ、お爺様がヨーロッパから取り寄せたそうです…当時は莫大なお金が掛かったそうですよ…」
当時じゃなくても、それゃあ凄い金は掛かっただろうよ…

「お邪魔しまーす」
香澄がひと声かけると、奥の部屋の扉が開く。

「ようこそ、あら、杏ちゃんも一緒なのね」
「失礼します」
「いえいえ、杏ちゃんも好きだもんね〜」
弥生さんの頬がほんのり赤く染まっている。もう宴が始まっているんだ…

「えっ?お客様?」
「お嬢様と匠さんが来たんだって」
純ちゃんと雪ちゃんの声だ。

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