ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 884
僕と出会うまではワガママで傍若無人だったという香澄。今思うとそれがちょっと信じられない。
「ふーいいお湯でしたあ〜」
萌ちゃんとの会話が終わらない間に香澄が風呂から出てきた。
「匠さん、誰がお相手です?」
「萌ちゃんだよ。夕飯はどうするかって」
「もちろん家で頂きますはぁ、久しぶり弥生さんの料理が食べたいですもの〜」
「あっそうじゃなくてぇ…萌ちゃんは何処で食べますか?って…」
「あらぁそうでしたのぉ…お父様はどうなんでしょう?…」
「和彦さんだったら帰りは遅くなると思うさ…何たって北京に飛んで行ったからね…」
「そうですかぁ…食堂に行かずにここで食べるのでもいいですかねぇ」
「僕は構わないよ。そう伝えておくよ」
「弥生さんや椿ちゃん、桜ちゃんや萌ちゃんたちも宜しければここでご一緒に頂きましょう」
…それもできるのかな?まあ部屋は十分な広さがあるから大丈夫だろうけど。
僕は萌ちゃんに香澄の希望を伝えて話を終えた。
「匠さんもよかったら汗流して来てくださいねぇ…」
そうだよな、今日は外に出したから汗だけじゃないもんね;…
「ああ、そうさせて貰うよ…皆で食事するのならヘンな臭いさせてる訳にはいかないもんな…」
「クス…ヘンな臭いだなんてぇ…私は匠さんのあの臭いも…嫌いじゃありませんよぉ…」
…そこまでフェチになってもらっても困る。それと2人きりの場以外では慎んでくださいね。
部屋備え付けとは思えないくらいしっかりしたつくりのバスルームだ。
もしかしたら香澄のために当分はここだけで生活できるようにと施工されたんじゃないかと感じる。
シャワーを浴びながらぼんやりそう考えていた。