ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 874
『ありがとうございます。でも今はダメですよぉ』
そんなことを言うかのように茜ちゃんが微笑む。
『わかってるよ』
僕も視線でそう応える。
「う〜ん、美味しいですぅ〜」
あまいケーキに顔を綻ばせる香澄は年頃の女の子に戻ったかのよう。
「ホントは入院中に太ったから控えめにしないといけないんだけどな…ちょっとジムで鍛えようかなぁ…」
そんな痩せているに太っているだなんて、世間一般の女の子に反感買いますよ;…
まあここにいる女の子は皆、スタイル抜群ではありますけどね;…
「久しぶりに匠さんも、ジムに行って来たらよろしいんじゃありません?…」
茜さん…そんな意味深なこと言わないで下さいって…;
「ふふっ、匠さんも一緒にトレーニングします?」
「うーん…考えておくよ」
僕もいつまでも若くはないし、最近はちょっとお腹と出てきたような気がする…
あと何年かしたら30だしな。
…しかしこのケーキ、甘くて美味しい。
こういう誘惑に勝てないのが人間だな。
甘いものは女の子の専売特許みたいに言われているけど、それって偏見じゃないのかぁな?…
現に僕は、ケーキだって大福だって大好きだもんね。
「そんな美味しいそうに食べて下さると、作ったかいがありましたぁ」
「へぇ?これって茜ちゃんが作ったの?…」
「はい、弥生さんに教わりながら、見よう見まねですけどね」
「すごいじゃないか、味もいいし弥生さんが作ったのと変わらないよ」
「そこまで褒めていただくと…ありがとうございます!」
茜ちゃんは最高の笑顔を見せてくれた。
「調理スタッフは精鋭ぞろいですから」
香澄が食べながら言う…クリームほっぺについてるけど。