ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 866
「もう、匠さんったら、麗ちゃんに現を抜かさないでくださいよぉ」
赤ん坊をあやしながら香澄が僕を嗜める。
…鼻の下伸ばしてるつもりはないんだけど、気をつけねば。
「初めまして、ですね」
「はい」
「日野麗です。普段はご主人の運転手をしてるんです」
へぇ、和彦さんのか。
「私よりも運転はお上手ですから、ご安心下さいね。」
杏さんが微笑みながら言う…
そうか麗さんは、秘書になった杏さんに変わって運転手になった人なのか…
「いえ杏さんだって充分に上手いですよ…普通だったらあんな大きなリムジンとか運転出来ませんって…」
増してはペーパードライバー化している僕なんて、めちゃくちゃ尊敬してますよ。
そんな話をしているうちに、車は青山家の門の前までやってきた。
麗さんが左折のウインカーを出すと、重厚な鉄の門扉がゆっくりと開きだす。
いつ見てもこの光景はすごい。
広大な庭の真ん中を通過し、玄関の前まで到達。
車の回りにはいつの間にやってきたのかメイドちゃんたちが出迎えていた。
「お帰りなさいませ、香澄お嬢様!」
桜ちゃんを先頭に一例に並ぶメイドちゃんたち…
まだ僕は知らない新人さんたちも含め、こんなにもいたのかぁ…と思わされる、そのかなりの人数に圧巻される。
これって、この手の制服フェチの人には堪らない光景だろうな?…
まあそういう趣向は持って無い僕でも、これだけの美少女を前にすると、かなり緊張するものがあるよね;…
「おじょうさまぁ、良くぞご無事でお帰りに…」
「桜ちゃぁん、何もそれくらいで…入院してたからって死ぬわけじゃなかったんだし」
「でも…」
この2人はホントに仲良しだね。
見ていてなんだか嫉妬心すら忘れるよ。
「匠さんもご一緒だったんですね」
「お久しぶりですっ」
僕のところに駆け寄るのは萌ちゃんとソフィアちゃん。