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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 87

杏さんは僕に気づいて、優しい笑みを浮かべながらお辞儀した。
「柏原匠さんですね?話は桜さんから伺ってます」
「そうですか…」
「私、青山家の執事の黒岩杏と申します」
「こちらこそ、よろしく」
「立ち話もなんですから、お家へ急ぎましょう。匠さんもお乗りください」
「あぁ、ごめん」

香澄ちゃんはすでに車の中だった。
僕も後部座席の、香澄ちゃんの隣に座る。
杏さんも乗り込み、車を発進させ青山家へと向かう。

お尻が沈みそうなふかふかの皮張りのシートは、流石に高級車だった。
慣れない空間に僕は身を固くし、膝を合わせる。

「匠さぁん、杏ちゃんがぁカッコよくてぇ緊張してるんですかぁ?」
…ば、ばか!変なこと言うなよぉ!
「リラックスゥ〜リラックゥスゥ〜♪」
…お、おい!!変なトコ触ってくるんじゃないよぉ〜!

「カッコいいなんて、全然そんなことないですよ」
杏さんは苦笑いする。
…でも、こんな高級サルーンを颯爽と運転できる女性なんてなかなかいませんよ。

「杏さんは、香澄ちゃんとは長いんですか?」
「うーん…今年で4年目くらいですかね?」
「初めて会ったときは、杏ちゃんは高校生くらいだったかな?」
…意外と最近?だったし、杏さんも若いんだな。

「私の両親は莫大な借金を抱えて逃亡し、その代わりに私に返済を強制したり、私自身が担保になりそうだったときもありました。そんな私を救ってくださったのが、青山家の方々でして…」
…某執事漫画を地で行く存在じゃないか、杏さん…

「当然、私がメイド服なんて着れる訳もなく…奥様にお願いして、執事職に就けて頂いたんです。」
はあ…なにが当然なのかよくは分かりませんが、香澄ちゃんのお母さんによくしてもらったのは伝わりましたよ…
「杏ちゃんはぁ、今でぇはぁお母様のぉお気に入りなぁんでぇすよぉ〜」
お気に入りって…啓くんとのことを知ってるだけに、妙に勘繰っちゃうじゃないですか…

…それはいいとして、桜ちゃんといい、杏さんといい、育った環境がかなり悲惨で、青山家に拾われたといったのが正しいのだろうか…苦労してる人が多いのかな?

「桜さんから聞いたんですが、我々青山家で給仕してる人間はほとんどが家庭で大きな問題を抱えていたり、親から酷い扱いを受けて捨てられたも同然の状態だった者が多いんです」
そういえば、桜ちゃんも親に捨てられたって言ってたな…
「桜さんは香澄お嬢様と一番長い付き合いなので、私たち後進組は見習うところが非常に多いんです」
桜ちゃんって人望が厚いんだねぇ。

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