PiPi's World 投稿小説

ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

の最初へ
 84
 86
の最後へ

ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 86

「お父さんは、青山家の人たちとは交流はないの?」
「コックやメイドさんたちとは食事を共にすることもありますけど、庭師ごときが香澄ちゃん始め、御家族とはなかなか合う機会はないですよ。僕が奥さんに声を掛けてもらったのだって、住み込ませて頂いてから半年以上後のことですから。」
…その時に君は、童貞を奪われたって訳ですか…

「私ぃもぉ、桜ちゃんたちメイドちゃんたちや執事さぁんとはお話しぃもしぃますけどぉ、庭師さんやぁコックさぁんたちは顔も分かりぃませぇんからぁねぇぇ。」
…同じ敷地内に住んでいながら顔も知らないだなんて、君たちはどうゆう生活をしているんですか?

「あの家にはどれだけの人がいるかわからないですからね…一説には、多いと1日100人くらい出入りするとか」
「そんなに!?」
「僕が生まれた頃に始めた工事がいまだに終わってなかったりしますよ」
…和製サグラダファミリア?

…朝食を終え、3人で後片付けする。
「時間になったら執事の杏ちゃんが迎えに来てくれますから」
執事ってところがね…って、女の子の執事!?

「あ、杏さんなら僕も知ってますよ。」
…おっ啓くん、ここでやっと共通の知人が登場ですかぁ?

「杏ちゃんカッコいいからぁ〜♪知らない人はぁいませんもんねぇ〜」
「へぇ?カッコいいって…杏ちゃんって、女の執事さんじゃなかったの?」
「やだぁ〜匠さんったらぁ〜、杏ちゃんはちゃんとした女の子でぇすぅよぉ〜、ねえ〜啓さぁん。」
「あ…はい。女の子って言っていいのか分かりませんけど、確かにカッコいいです…」

…君たちが何を言おうとしているのか、僕には全く分かりませんけど…;

…結局うちの家族は僕らが家を出る前になってわらわらと起き出してきた。
「匠兄ぃは早すぎるんだよ…」
葵がそう愚痴っていた。

そんな家族をよそに、僕と香澄ちゃんは家を出て予定の場所でその杏さんなる執事を待つ。
「ここでいいのか?」
「桜ちゃんはそう言っておりましたっ!」

…来て数分もしないうちに、閑静な住宅街には不釣合いなシルバーのメルセデスがやってきたのだった…

「おい、これマジか?」
「はい、杏ちゃんに間違いありません!」

中から降りてきたのは、長い黒髪が背中まであり、すらっとして背の高い、それでいて少し幼げな顔立ちのスーツ姿の女性だった。

確かにカッコいい…
2人の言っていたことは間違ってはいなかった。
顔でこそ少女を思わせる愛らしいものが見受けられるが、それを気にしてなのか、整えられた眉を必要以上に顰める表情は、燐とした若武者のようでもある。

「杏ちゃん御苦労さぁまぁ〜♪。わざぁわざぁ迎えに来てもらっちゃってぇ、ゴメンねぇ〜」
「いえ、お待たせしてしまったようで、申し訳ございません。」
深々と頭を垂れる杏さんの声は低く、どこかの歌劇団の男装の麗人のようだった。

SNSでこの小説を紹介

年下の他のリレー小説

こちらから小説を探す