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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 850

画面に映るデータを眺めながら夏子さんは頷く。
「ありがとう、匠くん、ここまでのデータが取れるなんて思わなかったわ」
「大変だったんですよ」
「それは十分わかるわよ。でも、ほどほどにね」
「あ、はい…」

何が『ほどほどに』なのかは、僕にはよくわかってることで…

「まあ今掃いているものは、残念ながら諦めるしかないはね…」
僕の掃いたサンプルを残念そうに眺める夏子さん…

「あっでも、これが一押しの商品なんですけど…」
夏子さんに意見する沙織ちゃん…
確かに今まで掃いた中で、これが一番掃き心地はいいもんな…

「沙織ちゃんの気持ちも分かるけど、実証写真が無ければ企画書としては弱いは…、今回はちゃんと実証出来た写真で、他の商品を企画書に仕上げるしか無いんじゃないかしら…」

夏子さんは書類をまとめ、モニターを少し見た後席を立つ。
沙織ちゃんは夏子さんに背を向けて項垂れていた。
…ちょっと気の毒に思えた。

「えっと…私、ちょっと会議で一旦出て行くから」
「はあ…」
「匠くんは今日は内勤よね?」
「ええ…」
「じゃあ、ごめんね、よろしく」

“よろしく”って…;
何をよろしくすればいいんでしょうかね;…

夏子さんが出ていったことで沙織ちゃんと二人になる…
まだ他の皆が出社してくるまでには時間があった…

「沙織ちゃん…要するにこのサンプルで実証すればいいってことなんだろ?…」
今になって、やっと二人が言っていた意味が僕にも分かった…

「はい…でももう時間もそんなにありませんし…」
肩を落とした沙織ちゃんに、なんとか協力したくなるのは男としては当然な訳で…

「沙織ちゃん、なんとか頑張ってみるよ」
「えっ?でも、今じゃあ…」
「時間はないから、沙織ちゃんも…」

僕は対象のサンプルにはきかえた。
「匠さん…私のために…」
「いいから、沙織ちゃんにも協力してもらって」
沙織ちゃんは意図を理解したのか、僕に向かって手を伸ばす。

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