ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 847
「さあ早く出社して企画書を仕上げましょ!」
「えっ?“ましょって”…僕もかぁ…?」
「そうですよぉ、匠さんには会社に置いてある商品を着てもらわなくちゃいけませんもんね…」
ああ、そんなこと言ってたっけ…
夏子さんに渡してしまったパンツは、ここには無いだったよな…
沙織ちゃんは勢いよくベッドから飛び起きるとすぐに下着をつけパーカーを羽織り朝食の準備を始める。
…オンオフの切り替えが早いってすごいなぁ。
まあ幸い時間は十分あるし、出来るまでまだかかるだろう…僕は脱ぎ散らかった服を取ってゆっくりと着替え始めた。
夕べ手探りで掃いたパンツはやはり相当にヤバカった;
こんな実用性の無いのって、一体誰が掃くんだろうね?…
「あらぁ?…それ気にいりました?…」
朝食の乗ったトレーを運ぶ沙織ちゃんに見られてしまう;
「まさかだよ;…夕べ間違えて掃いちゃったんだよ;」
声のトーンを上げ、必死に言い訳する…
これを気に入る奴なんて、相当なるナルシストしかいないと思うからね;…
「それ、私の中では自信作なんですよ」
「そうなの…」
デザインも薄さも機能性もアレながら需要はあるのか、コレ。
まあ可能性がゼロではない限りはチャレンジするのもいいけど…
「匠さんのおかげです。私一人じゃデータなんて取れませんでしたから」
沙織ちゃんはそう言いながら朝食を僕に差し出す。
こんな格好のままで何だけど…受け取るしか無い;
「似合ってますねそれ…」
両手が塞がれていては、隠す手段は無いでしょ;…
てか、そう言われても全然嬉しくは無いんですけどね;
「よかったらプレゼントしますよぉ…」
全然よくは無いですから;…