ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 836
「生地とこれの間に余裕がなくてちょっと痛い感じもするかな…」
「ふぅむ、そうですかぁ」
一度モニターに向かってデータを打ち込む沙織ちゃん。
「次の、穿いてください」
…こんなやり取りがしばらく続いた。
どのパンツもそう大差なくて、ぴっちりとしたもので少々きつかった。
沙織ちゃんも胸を寄せながら近くで観察するので、そこが収まるはずもない。
「これで、全部出来ました…これでいいかな…」
「はい…やっぱり今日夏子さんに提出した製品がよかったのかしら?…」
「それってここには無いの?…」
「残念ながらここにあるのは全て一点だけなんです…あれは夏子さんに渡してしまったのでここには無いんですよぉ…」
まあ僕としては、もう穿き替えなくて済むなら、それはそれでよかったけどね…
「すみません匠さん、明日の朝あの製品、もう一度穿いて貰えませんか?…」
「いいけど、明日の朝?」
「はい、一応、確認の為です」
…何の確認なのかはよくわからないんですが。
そんなわけで沙織ちゃんが持ち帰った仕事もひと段落した。
「匠さんのおかげで徹夜は免れましたよ〜」
「沙織ちゃん、あんまり無理しなくていいんだよ?」
うーんと背を伸ばす沙織ちゃん。
その格好でその姿勢…無防備過ぎますってぇ;…
「私って一つのことに懲りだしたら、“とことん”ってところがあるんですよね…」
「まあ探究心があるっていうのは、悪いことでは無いと思うけど…」
その為にブラジャー姿になって、僕をこんなにしたのは…ちょっとやり過ぎの気もするけどね;…
「そう言って貰えてぇよかったぁ〜、匠さんもちゃんと元気になってくれましたしぃ、もう言うことありませんね〜」
元気って…そりゃ沙織ちゃんのそんな姿見たら…
勃たない方がおかしいと思うよ。
「匠さん、お風呂使いますよね?」
「ああ…いいの?」
「せっかく2人なんですもん…ね?」
いや、ね?って言われてもですね…