ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 794
「ダメ…静かにして。誰かに聞かれたら大変よ」
その声を聞いて凍りつく。
それは間違いなくお袋の声だった。
「でも…まずいですって、いくら夜中だからって…」
「それは…君のせいよ。あんな大きいのを見たら…我慢できないじゃない…」
コレって;…お袋の方から誘惑してるってことかよ;…
「大きいなんて言われたの初めてですよ…こっちの方には全く自信ありませんからね…」
それは美玲ちゃんも言っていたけど…
てかおい!…自信無いのになんでこんなことになっているんだよ?;…
「これで自信ないって…君と相手してきた女の子は見る目がないんじゃない?」
「そ、そんな…」
「今の君の…すごいよ…」
お袋と新庄の言ってることがまったく違う。
見る目がない…美玲ちゃんがそんな風だとは信じたくないけど…
「久しぶりよ…ここまでの…」
お袋の中に眠っていた女の顔を、初めて見た気がした。
まあお袋だってまだまだ現役バリバリの“女”って訳だ…
子供の僕からしてみたら余り見たくは無い一面ではあるけれど、これも致し方ないことだよな…
僕はそう思いながら、そっとその場から立ち去る…
やっぱりそんなお袋を見たくは無いし、お袋だってそんな自分を僕に見られたくはないだろうからね…
トイレで用を足し、自分の部屋に戻りベッドに寝転がる。
今朝まではここで寝ることはできないだろうと思っていたが…思わぬ形でこのようになるとは…
さっきのことは忘れよう…そう思った。
数時間後。
再び起きてキッチンに向かうと、いつも通りのお袋の姿があった。