ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 782
「ええ、わかります。お兄さんは仕事もされているから…」
恭介が僕の分もスープを用意し、テーブルに置いてくれる。
「お前も働くようになったら気をつけろよ。今の比じゃない」
「はい」
僕の場合は半ばイレギュラーだとも思うけど。
美玲ちゃん手作りのお弁当は美味しかった。それは本当だ。
まあ義理の弟になる恭介と、それを分かち合えたのもよかったとは思う…
だけど寝たからとはいえ、そんな特別な関係でも無い美玲ちゃんのことを、恭介に知られてしまったのはマズかった;…
「このことだけどさ…家の連中には黙っといて貰えるかな…」
僕は恭介に向かいぼそっと言う…
やっぱり香澄がいる訳だから、お袋や妹たちに知られなら、総攻撃を受けるに決まってるもんね;…
「もちろんですよ…お兄さんには栞ちゃんと僕のことで貸しを作ってしまっているんですから」
そうだな…お互い様ってことか。
「男って、情け無いもんだな」
「でも、やっちゃうんですよね…」
いつの間にか恭介にも、啓くんのような弟のような気持ちを持つようになっていた。
不思議なもので、互いの弱みを知り合うってことで…より気持ちが通じ合えたような気もする…
まあ互いにその“弱み”っていうのが、女のことでもあるしな;…
「恭介お前は今まで…何人ぐらいとヤったんだ?…」
これだけのイケメンだ…いくらモノは小さくたって、かなりの人数を熟しているんじゃないかな?
これは梓の兄としてというよりも、僕の単なる好奇心だった。
「…それって、梓と栞ちゃん以外にってことですよね?」
「当然だろ」
恭介は少し苦虫噛んだような表情をした。
言いたくないことはわかってるよ。僕だって進んで言おうとは思わないことだ。
「そうですね…2人、ですかね」