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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 79

僕の顔を見た啓くんははにかんだように、ペコリと頭を垂れる。
「あ、お帰り…」
僕は愛想なくそれに返す。

事もあろうに香澄ちゃんのお母さんに、童貞喪失をしてもらったという事実を知ってしまった以上、今朝とは見る目が変わってしまうのも当然といえば当然だ…

二人が帰ってきて数分、みんなで机を囲んで夕食である。
「お母様のお料理美味しいですぅ!」
「あら?香澄ちゃんったらお世辞がお上手ね〜」
「いえ、本当ですよぉ〜」
「ふふふ、嬉しいわ〜」
昨日から何でもかんでも褒めちぎりまくる香澄ちゃんに、お袋は上機嫌である。

そんなお袋を親父は、遠くから暖かい眼差しで見守っている…
親父は何時だってお袋を大きな愛で包み込んでいるんだ…
…出会った頃の、お袋が高校時代から親父はそうだったのかな?

物思いにふける僕の顔を人妻キラーの啓くんが不思議そうに眺めていた…
…そういえば…僕が童貞を捧げた人妻さんは、お袋の高校時代の親友だったよな…

さっき葵と一緒に見た卒業アルバムにも、その人の顔と名前はあった。
もちろん妹に言えるような話ではない。

もともとはこの近所に住んでいて、度々家に遊びに来ていた。
結婚した後も、しばらくそれが続いていた。

それは、高校生のとき、お袋が留守のときに彼女がやってきたときのこと。
結婚して何年も経つのに、彼女には子供はいなかった。
「…子供が出来ない身体だって言われたの」
それが本人か旦那さんかはわからなかったが、あのときの寂しそうな表情は今でも覚えている。

「子供って、そんなに必要なんですか?…」
何も分かってはいなかったあの頃の僕は、思うがままに率直な疑問を彼女にぶつけた。彼女は僕の言葉に嬉しそうに微笑みながら、掠れた声で続けた。
「皆が匠くんみたいに考えてくれたらいいんだけど、世の中にはね…子供の出来ない女は…女としては欠陥品と考える人も多いのよ…」
あの時の彼女の悲しそうな笑顔を…僕は今でも忘れてはいない…

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