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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 78

「そういえばさ」
葵が話題を変える。
食べ終わって空になったポテトチップスの袋をゴミ箱に捨て、僕を別の部屋に呼ぶ。

「何なんだ?」
「これなんだけどね」
古そうな一冊の本。
それは、お袋の高校の卒業アルバムだった。

「この『桜木操』ってのがお母さんでしょ」
「そうだな」
「で、こっち」
「『青山和彦』…あ、これって」
「そう、香澄ちゃんのお父さんじゃない?」

「マジで?…」
いかにもの好青年を絵に描いたようなイケメンを、僕は真面真面と眺める。
そして以前雑誌で見た『青山和彦』の顔を記憶の底から呼び起こす。

「間違いない…こいつが青山和彦の若かかりし時の写真だな…」
「やっぱり…お母さんは青山和彦と同級生だったのよ…それなのに何故、お母さんは面識もないふりをするのかしら?」

「…何か言えない理由がお互いにあるとか?」
「そうとしか思えないよね」

そして、当時親父が教師としてこの高校に居たのだ。
親父とお袋がこのとき関係を持って僕が生まれたわけだが、同級生だった青山氏はこれにどう関わっていて、どんな気持ちでいたのか?
考えれば考えるだけ謎は増える。

「親父だって青山和彦を知っていながらに、僕たちの前では素知らぬ顔をしていたよな…」
「うん。教え子の顔は、どんなに月日が経っても分かるって、自慢してたもんね…」
僕と葵は互いの顔を見詰めながら、怪訝な表情を浮かべる。

「何かあるよな…」
「うん…私たちに知られたくない…何か大きな秘密があるのよ…」

僕はそれを突き止めたい衝動にかられながらも、心のどこかでは、それは知ってはいけないことのような、嫌な胸騒ぎを覚えた。


…まあ、別に今突き止めなくちゃいけないことではない。
明日、香澄ちゃんのお家に行けば、自然とわかることなのかもしれない…僕は、そんなことを期待と不安半々で抱いていた。

そんな時
「ただいまー」
梓と啓くんが帰ってきたようだ。
そういえば今日はデートだって言ってたな。

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