ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 778
まあ美玲ちゃんが今まで満たされていなかったのは本当みたいだね…
「ごちそうさま。美味しかったよ」
「ありがとうございます!」
美玲ちゃんの手元には弁当箱がある。
そういえば最近、みんな自分で作ってくるようになったんだよな。
「一応コレ、匠さんの分も作ったんですよ…」
「うぇ?…それは嬉しいけど、僕は今日会社休むつもりなんだけど…」
会社に行ったところで、美玲ちゃんの手作り弁当なんて食べていたら、エッチしたことが皆にバレバレになっちゃうよ;…
「そう言わずに、お家ででも食べてくださいよぉ〜」
まあ香澄はまだ病院だし、平日だから家にはお袋ぐらいしかいないだろうけど…
「ありがとう…弁当箱は洗って返すから」
「ふふ、味わって食べてくださいね〜」
こんな良い笑顔で渡されたら、食べないわけに行かないもんね。
それに美玲ちゃんの手料理のクオリティはさっきの朝食で実証済みであって。
美玲ちゃんの出勤時間に合わせて、家を出る。
「お仕事頑張ってね」
「匠さんはゆっくり休んでくださいねぇ」
「ああ、なんかいろいろありがとうな…」
エレベーターに乗り込み、お礼を言う。
「お礼を言うのは私の方ですよ…、匠さんと話せて本当によかったです…」
「ん?…話しただけじゃないだぁろぉ〜」
そう言いながら美玲ちゃんに腰に腕を回す…
「んもう、エッチなおじさんみたいなことはめっ、ですよ〜」
美玲ちゃんは僕の腕をはねのけることはしないけど、ニコッと笑って言った。
「…まあ、うまくいくよう考えてね」
「そうですね。私が子供みたいだったかもしれないし…」
2人には幸せになってほしいからね。
マンションを出たところで美玲ちゃんと別れ、朝帰りの途につくのだった。