ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 774
「うちで開発した製品ですよ〜、匠さんも見慣れているでしょう」
「いや、そうだけどさ、人のはさすがに…」
しかもそれっていつものように面積少なめ薄手のピッタリタイプのやつでしょう…
「…やっぱり抵抗ありますか」
「まあねぇ」
顔もよく知らない奴のは、やっぱり掃く気にはならないよね;…
「ごめんなさい…新品がある時もあるんですけど、生憎今は切らしてしまって…」
会社で取り扱っているのが男性用下着だから、女の子の一人暮らしとはいえ置いてある時もあるんだね…
「僕のことは気にしないでいいよ…それにそんな窮屈なのを穿いてたら、ぐっすり眠れないからね…」
「ふふふ、匠さんって繊細なんですね」
「こう見えてデリケートなんだからね、美玲ちゃんも気をつけたまえ、なんてね」
「うふふふ」
美玲ちゃんはクスッと笑った。
「ぐっすりお休みください、お帰りは私が出勤する時間で良いんですから」
「それは有り難い…一応会社に連絡入れなくちゃいけないから、ちゃんと起こしくれよ…」
「もちろんですよぉ〜私の作る朝食、一緒に食べましょうねぇ〜」
「へぇ〜美玲ちゃん料理作るんだぁ…」
「やだぁ…何もしないと思っていたんじゃありません?…」
それゃあその綺麗な爪を見たら、誰だってそう思うと思うよ;…
…同じ課にいなかったら、絶対に知ることなんてなかったよね。
もしかしたら美玲ちゃんは、意外と彼に尽くすタイプなのかもしれないね。
それを彼氏がわかってなさそうなのが不幸というのか…
「ありがとう、期待してるよ」
「はい、おやすみなさい」