ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 773
「あらぁ泊まっていかないんですかぁ〜」
「そういう訳にはいかないよ…同じ服着て行ったら、皆に何言われるか分からないからな;…」
男だからといって、そういうチェックは何処の部署より厳しいもんね;
「もう電車ありませんよぉ…」
「まあタクシー掴まえるさ…ここからだとそうは掛からないと思うからさ…」
「ふふ、奥様に悪いからですか?」
美玲ちゃん、痛いところを突くね…
「まあね…それもあるけどさ…」
「彼の着てるスーツ、持ってますよ」
…どうしてそんなものを。
「匠さんは今日大仕事をやったんです、明日はお休みしたって誰も文句は言いませんよ」
まあそう言われるとそうかもしれない…
ここんところ今日のプレゼンの為だけに全精力を傾けてきたから、明日行ってもやること無いよな…
それに家に帰ったところで香澄はまだ病院だし、高い金出してまで、タクる必要なんて無いかもしれないよな…
「美玲ちゃんはいいのか?…僕なんかが泊めさせてもらっちゃってもさ…」
「クスッ…何を今更ですよぉ…それって、ヤル前に言う台詞じゃないですかぁ〜?」
まあそれもそうだよね。
泊まる云々の話をする前にお互いヤっちゃったもんね。
「じゃあお言葉に甘えて一晩過ごして、仕事は休むとするかな…」
「はい!彼が着てた寝間着用意しますね」
美玲ちゃんがパタパタと駆け出す。
なんだか新庄が着ていたジャージを着て、今度は寝巻…
スーツは借りないで済みそうだけど、なんだか複雑な心境ではある…
もし自分が彼女の家に服を置いておいて、それを別の男が着ると思うとやっぱ嫌だもんな…
「下着も代えますよね?…」
おいおい!…
「いやぁ…ちょっと人が穿いていたパンツは…」
啓くんや恭介が穿いていたのとは訳が違うもんな…