ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 772
美玲ちゃんは変わらずニコリと微笑みながら僕の身体の汗を拭いてくれる。
「ごめん…重かったよね…」
「いえいえ、匠さんのあったかさを感じられて嬉しかったですよ〜」
美玲ちゃんも派手にイッたんだけどな…
僕の方がいつも回復が遅いのかと思ってしまう。
女の身体の方が持久力があるって言うけど…多分こういうことなのかもしれないよな;…
まあ少し前の僕ならこんなこともへっちゃらだったかもしれないけど、僕も次の誕生日が来れば29…アラサーと言われる年齢に間違いないからね;…
「新庄って奴は、まだ若いんだろう?…」
うる覚えではあるけど、なんとなく恭介とたいして変わりなく思える。
「私とは同期ですよ」
「そうなんだ」
若いなら、それこそ毎日のように致していてもおかしくないんじゃないか?
学生時代の僕なんてそれに近かったし。
「匠さんは、やっぱり彼とは違うなぁって感じちゃいました」
「そうなのか?…きっと僕なんかより新庄の方がモテるんじゃないのか?…」
美月ちゃんがモデルに選んできたぐらいだから、女の子にモテない筈がないよな…
「う〜ん…私も初めは外見に引かれてお付合い始めたんですけど…彼って見た目とは違って…」
モテるから大勢の女の子と経験しているとは限らないってことか…
「私が理想ばかり追いかけ過ぎたってことですかね」
「そんなことないと思うよ。期待外れな男代表として謝るよ」
「ヤダなぁ、匠さんは全然ダメなわけないですよ〜」
美玲ちゃんはクスクス笑いながらベッドから離れ立ち上がる。
「…まあ、いいけど…今何時かな…」
部屋の中を見渡し、時計を探す。