ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 756
ああ、そうだったのね。
でも、美玲ちゃんがそういう御家の子だってのはちょっと意外な気もする。
美月ちゃんや葉月ちゃんならイメージもつくのだが…まあ、飾らない性格って捉えればいいのかな。
「ここでーす」
「おお、お邪魔します」
「私一人しかいないですってぇ、それに匠さんは年上なのにぃ」
…でもね、自分よりお金のありそうな人に対すると、不思議と敬語になっちゃうんですよね。
なんだか香澄と初めて会った時のことを思い出しちゃうよね;…
あの時もこんな大パノラマの夜景が広がる高級ホテルだったからな。
「楽な格好に着替えて下さいよ…」
そう言って男物のジャージを差し出してくれる美玲ちゃん…
確かにプレゼン用にキメてきたスリムなスーツは窮屈だった。
「あ、ありがとう…それじゃあ遠慮なく…」
美玲ちゃんが用意してくれたジャージを受け取る。
「一人暮らしなのに、男物用意してるんだね」
「まあ、彼のためだったんですけど…必要なくなりますかね」
「…」
返す言葉なくスーツを脱ごうとする。
「あっ、匠さん、着替える前にシャワー浴びてきません?」
まあ今日は緊張してヘンな汗をかいたからありがたいけど;…
「もしかして臭う?…」
まだ加齢臭って歳では無いけど、やっぱりそれは気になっちゃうもんな;…
「そういうことじゃないですよぉ〜、私の彼って始める前は必ずシャワー浴びるんで、匠さんもそうかな?って思っちゃって…」
あ;そういうこと…
しなさ過ぎとか言ってたけど、やっぱ全く無いって訳ではないんだな…
「ありがとう…使わせてもらおうかな」
「どうぞごゆっくり♪」
美玲ちゃんは満面の笑顔でシャワーの場所を案内してくれた。
脱衣所の籠にジャージを置き、スーツを脱ぐ。
あまり経験しない大人数前にしてのプレゼンに、ぴっちりとした新製品の下着…緊張で汗も結構かいていた。
シャワーで汗を流す…それと同時に、美玲ちゃんは、その気なんだと悟る。