ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 743
まあ僕もこれ以上反対する気も無いしな…
ただ葵にしろ栞にしろ、梓と恭介が一緒になることで傷ついたことは確かだからな…
「そうだ、今晩は恭介くん、匠兄ぃの部屋に泊めてやってよね…」
「ぅえ;!…な、何でそうなるんだよぉ…」
「仕方ないじゃない…またソファーで寝かす訳にもいかないし…それにまた、今朝みたいなことが起こると困るでしょ?…」
葵お前…知ってたのかよ;?…
「まあ、仕方ないな…それじゃ僕がソファーで寝るか」
「本気で言ってる?」
「冗談に決まってるだろ」
…そういうことだったら啓くんの時で慣れてるからな。
あと何度あるかわからないけど。
「恭介くんと梓には早く愛の巣を見つけてほしいね」
「まあね…」
恭介はまだ学生だから、それもちゃんと働き出す来年の春まではお預けになるかもしれないよな…
まあ僕が早く出ていって、それまであの部屋を空け渡してやるべきなんだろうけど…
「すいませんなんか…今晩はお兄さんの部屋に泊めていただけるそうで…」
リビングに戻ると開口一番に恭介が言った。
まだ僕はOKした覚えは無いんですけどね;…
「いや、まあ、そんな気にするなよ」
「すいません、迷惑かけるみたいで」
「もう慣れっこだよ、そういうのには」
「そうなんですか?」
「…梓の前の彼氏にも同じことが何度もあったからな」
「ああ…」
恭介は納得したようだが、複雑な顔をしていた。
啓くんのことを知っているだけに、恭介も気不味いんだろう…
これが顔も知らない奴だったら、もっと呑気にも出来たんだろけど…
「もぉ匠兄ぃはぁー恭介くんのことそんな虐めないでぇー」
梓が膨れっ面で僕に抗議してくる。
「あ、そんなつもりじゃ;…」
やっぱ啓くんのことを言うのは、ちょっと可哀想だったかな?;