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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 731

「母さん…そんなことしたら、増々お祖父様がお怒りになるのでは?…」

鈴田宗次郎か…
確かスズタの先代の社長である鈴田宗次郎は、殊更に青山コーポレーションを嫌っているんだったよな…

「今さらあの人のことは気にしませんは…でもそのことで…この家に迷惑が掛かるかもしれないし…」
美恵子さんはすっかりと意気消沈してしまう…

「別にそこまで気にすることではないとは思うが…」
和彦さんは気を引き締めなおしたのか、落ち着いた口調で言う。

「あの人もご高齢で、もう長くはないという噂があるが…」
確かに鈴田宗次郎は美恵子さんと起こした親子内紛の後、病床に伏していると聞いたが…
「ええ、あのときのことは…あんなことを起こさなければ…」
巧…美恵子さんとは冷え切った関係なのか?

「それはビジネスの問題だは…あのままだとスズタは潰れていたって、巧も分かっているでしょ?…」
確かその後の総会でも、美恵子さんを指示する人が多かったんだよな…
 
「それは僕も納得しているから、今もこうして働いているんですけど…」
“けど…”…美恵子さんのやり方には不満を持っているってことか?…

「どちらにしても、あの人は怖い人よ…病床に着いていようとも、手足のように動く人間はご満といるは…」

美恵子さんの表情は母親ではなく一企業のトップたる凛々しい表情だ。
この切り替えはさすがと言うしかない。

「我々の今後は」
「長期的な目線でお話して行きたいですね」
和彦さんも途端に表情が変わった。
張り詰めた雰囲気に飲まれそうになる。背筋がひんやりとした。

まあ仕事はそうだとしても、プライベートなことまで鈴田宗次郎は干渉するんだろうか?…

「でも…この家に美恵子さんが孫の顔を見に来るぐらい、多めに見てくれるんじゃないですか?…」
増しては僕の子供は、宗次郎にとっても曾孫になるんだからね…

「匠は甘いな…どうして母さんが隠れて僕らを産んだと思う?…産んでから直ぐに匠を柏原家に養子に出し、僕を連れて逃げるようにして海外に渡ったんだか分かるか?……」

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