ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 715
「うわぁ、驚くなあ;…栞さんまで…」
「ごめんね…連絡くらいしなくちゃいけなかったね;」
「まあ俺は別に構わないけど…1人エッチしてる可能性だってある訳だし…」
相変わらず啓くんは、そんなことを言って僕と栞の反応を楽しんでやがる;…
「ああ僕らは邪魔しないから、ヤルならさっさと済ませてこいよ…」
僕は負けじとそう言うと、啓くんの顔を見ながらニヤリと笑った。
「啓くんは相変わらず啓くんだなぁ」
「ホントだよ」
多少呆れるところもあるけど、それがまた可愛い?ところでもある。
啓くんは僕にとっては弟であり、栞にとってもきっとそうだろう。
「…ゆかりさんは、どこにいるんだろうなぁ」
「ああ昨日は外泊…もうじき帰ってくるんじゃないかな?…」
外泊って…やっぱゆかりさんにはいい人がいるんだろうか?
まああれだけの美人だ、いない方が可笑しいか…
「って訳で、茶ぐらいしか出せないけど上がってよ………俺のこと慰めに来たんでしょ?…」
「なんかあっさり言うなぁ」
「梓に言われたときはショックでしたよ。母さんと喋るのも辛かったし」
「ゆかりさんからは何か言われたか?」
「私も経験してるから…って。たった一度くらいでくよくよしてたらこの先生きていけないわよなんてね。その直後だったから引きずるのは当然だったけど…」
まあゆかりさんはねぇ…
自分は引きずったから啓くんには、って思いもあるんだろうなぁ…
「2人ともそんな顔しないで下さいよ…俺は案外平気ですから…」
「強がっているんじゃない?…もし匠兄ぃと男同士で話したかったら、私帰るよ…」
「何言ってんですか…栞さんだって僕と同じじゃないですか…あの人と付き合っていた訳だし…」
「やだぁ知っていたの?…」
「もちろんですよ…俺はここに越してくる前はずっと、花木さんの教える塾に通っていたんですよ。」