ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 710
僕だって普段から手入れしているわけじゃないから、余計元から毛深いってのがわかるんだなぁ。
自分はそこまでではないのはある意味良かったのかもしれない。
「もう少しで親父に見つかるところだったんだからな」
「はい、すみません…」
いくら寛容な親父だって、梓を貰いに来た男がその翌朝に、栞とイチャ着いているなんて面喰らうに決まっている…
それに何やかんや言っても、結局は花木恭介が梓と一緒になることを喜んでいた親父を哀しめることはしたくない…
「親父はさ…新しい息子が出来ること、嬉しいんだと思う…」
僕は親父の本当の息子かどうか、まだはっきりしたことは分からないもんな…
「お兄さんは…」
まだ今の彼には、僕の事情を話すには早いだろう。
「いろいろあってだな、僕も」
「そうですか…」
「僕も、昨日妻が出産したんだ。双子の女の子だ」
「それは、おめでとうございます!」
「新米の父親同士、仲良くしたいからな」
「僕のほうこそ…」
緊張が解れたのか、花木恭介のモノは本来の大きさを取り戻していた。
まあそれでも小振りのソレにはどこか安心させられ、僕はすっかりこの男に好意を抱いていた。
「これからは長い付き合いになるんだからな、梓のことはくれぐれもよろしく頼むよ…」
「勿論です!お兄さんに怒られるようなことは極力しないよう努めますから!…」
なんかこうしてみると、花木恭介…彼もまた啓くんに似てるところがあるなぁと思ってしまう。
だからこそ梓と…とも思うのだけれど。
「その前に栞ともけじめをつける、忘れるなよ」
「はい…!」
ある意味それが一番大変そうではあるがな。
僕は恭介より早く風呂を後にした。