ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 703
夢の中で、まだ見ぬ花木恭介という男に襲わる葵と栞、それに梓の姿が出てきた…
「匠兄ぃ〜!助けてぇ〜!…」
三人が三洋に僕に助けを求めている…
「待ってろ!…今行くからぁ!」
そう言いながらも、僕の身体はがっしりと押さえられて動かない…
「離せ!離すんだ!」
僕の腰にしがみついているのは、こともあろうに啓くんだった…
「お兄さん、僕のこと忘れないでくださいよぉ〜!!」
「お、お前だって大事だけど、今はなぁ…!」
啓くんにしがみつかれて何も出来ないでいると、目の前の妹たちはどんどん遠ざかり、花木恭介らしき男に3人がいっぺんに連れて行かれる…
「や、やめろぉ〜!!」
…「はっ!?」
そこで目が覚めた。疲れに負けて寝てしまった…
部屋の壁の時計に目をやると、もう夜中だった…
やべぇ;…
僕はパンツ姿のまま、慌てて1階に下りた。
ん?…
ソファーで毛布に包まり、酒臭い息を吐きながら寝息を立てる見知らぬ青年が一人…
こいつが花木恭介なのか?…
僕がそっと近寄ると、寝返りをうった青年の毛布が、ハラリと床に落ちた…
おいおい、素っ裸で寝てるのかよ…
酔うと他人のことなど言えなくなるが、初めて訪れた家でここまで…僕も人のことは言えないか。
まあ一緒に酒飲んで、その後もこうしていられるってことは親父もお袋もいい印象は持ったということだろう…
まあ親父は元々葵か栞とくっ付けようとしていたぐらいだから、いい男ではあるんだろうけど…
僕はあどけない顔で眠る花木恭介をまじまじと眺める。
確かに親父が言っていた通り、嫌味なぐらいに爽やかな印象を受ける顔だ…
僕は眉を顰めて、視線を身体に移す…
細身な割りにしっかりと着いた筋肉…寝息で上下する腹筋は、ちゃんと6つに割れていやがる。