ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 695
話さなければと思いながらも、時をやり過ごしてしまう。
まあ夕飯も食べ終わって、お袋の後片付けが終わってからでいいよな…
なんなら親父には、僕が風呂の中で話してもいいし…うん、それがいい…やっぱり男親としては、妊娠の事実を娘から直接聞くより、間接的に知る方がいいだろうからな…
夕食の席は香澄の話で持ちきりだった。
親父もお袋も、妹たちも僕と香澄の間に子供ができたことを本当に、自分たちのことのように喜んでくれた。
(お袋は『この歳で初孫が出来るのってちょっと複雑だけど』と苦笑いしていたが)
夕食はいつものように美味しく、楽しい話で盛り上がった。
時間もなくて大変だったのだろうが、お袋はきっちり買い物に行ってちょっぴり豪華なものまで…本当に頭が下がる。
「お母さん、ちょっと…」
食器を洗うお袋のところに、梓がやってきてひと声かける。
いよいよ話すんだな…
「僕もここにいた方がいいかな?…」
隣に座っていた葵に小声で聞く。
「ううん、ここは女同士…私たちに任せて…」
「ああ…それじゃ僕は親父とだな…」
すれ違いざま僕は梓の肩をポンっと叩いて、親父の入っている風呂場に向かった。
浴室の中からは上機嫌な親父の鼻歌。
息子夫婦?が大仕事をやった後だ、気分がいいのも当たり前だろう。
こんな親父の姿は珍しい。
「親父、入っていいか?」
「おう、匠か。遠慮せず入って来いよ」
「ありがとな」
僕も服を脱いでその中へ。
「あんな小さかったモンが、立派に男の役目を果たすようになったんだな…」
湯船に浸かる親父は目を細めながら、僕の股間を見ていた。
「男の役目って;…何言ってんだよ親父;…僕が童貞卒業したのはもう10年以上も前の話しだぜ…」
掛け湯をしながら、何気に被った皮を見栄剥きする…