ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 657
まだ辺りは白んできたばかりの早朝、僕は目覚めた。
左側には椿ちゃんが僕の腕を握り締め、可愛い寝顔を見せていた。
どことなく弥生さんに似たその愛らしい寝顔…
将来はお母さんに負けないぐらいの美人さんになるのは間違いないね。
てか;右側にいる啓くん;…
僕は抱き枕じゃないんですけどね;…
3人でベッドはきつかったかもしれないな。
こんな体勢になるのも仕方ない。
ちょっと早いけど、僕はベッドから出てタンスから服と下着を取り出し着替えることにした。
ベッドの2人はまだ気持ちよさそうに寝息を立てている。
着替えて1階に下りる。
早い時間でも、我が家は絶対に誰かは起きてるんだよね…
台所で洗い物をしていたのは、意外にも香澄だった…
「あれ?…随分早いんだね…」
「あっ匠さぁん〜おはようございますぅ〜♪」
窓から差し込む朝日を受ける香澄はキラキラと輝き、まるで天使のように神々しくも見える。
「起きてるの香澄だけ?」
「はい、私もビックリしました。お母様はいつも早起きなのでつい」
ああ、お袋、夕べは酒飲んでたからかな。
それだと親父と弥生さんも…今日は遅そうだ。
「香澄って早起きだよなぁ」
「まあ、私もそうやって鍛えられたというかですね」
「ごめんな、あっちの家ではこんなこと無いだろうに…」
「いいえそうじゃないんです…鍛えて貰ってよかったと思っているんです。」
「そうなの?…ここじゃ何でも自分でやんなきゃいけないだろ?…」
「その当たり前の生活を、私は今までしてこなかったんですもの…」