ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 651
「あら…何か曰く付きってことなの?…」
「まあそう簡単なことでは無いんですけど…」
弥生さんには巧のことを相談していた以上、本当のことを話すべきだとは思うのだが、この短時間で話すのはとても無理だ;
「いいは、操の前では口裏合わせてあげる…だけど総てが解決したら、その時はちゃんと教えてね…」
僕の困った顔を察知したのだろう、弥生さんは深くは突っ込まず、僕と香澄に向かいニコっと笑ってみせた。
その後、リビングに戻ると弥生さんはうまく話をまとめてくれ、親父とおふくろに真意を伝えることはなかった。
「あら、もうこんな時間ねぇ」
「もう暗いし、弥生も椿ちゃんも泊まっていったら?」
お袋がそんなことを言う。
それは確かだけど、うちは青山家とは違って…
「じゃあ椿は匠さんのお部屋に〜」
「…椿ちゃん」
「私もいいの?…」
弥生さん?…明日の朝食はいいんですか?…
「もちろんよぉ〜!まだ話したいことや聞きたいことはいっぱいだからぁ、今夜は私たちの部屋に泊まってちょうだいぃ!」
お袋;…私たちの部屋って、夫婦の寝室ってことですよね;…
「嬉しぃ〜明日の朝食はセカンドシェフに任せることになっているから、丁度よかったはぁ!」
あ、そういうことですかぁ…
セカンドシェフか…青山家のことだからそういう人がいてもおかしくないよね…
その人も女性で、きっと美人なんだろう…その想像は今すべきではないだろうが。
…で、椿ちゃんは本当に僕の部屋に泊めるの?
「弥生も椿ちゃんもお風呂使っていいからね〜」
お袋、聞いてないか…
「3人じゃ窮屈かもしれないけど、まあ仕方ないですよね;」
おい啓くん;…君も僕の部屋に泊まるつもりかよ?;…
「3人なら安心だからいいはねぇ。」
梓;‥『安心』って、お前は何を心配してんだよ?;…
「それなら今日は、梓ちゃんのお部屋にお泊まりさせてもらいますねぇ。」
香澄;…今日『は』じゃなくて、今日『も』でしょうが;…