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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 649

この家で弥生さんを見るとちょっと不思議だ。
このリビングでも、台所でも…人目を盗んでヤッテいた頃に戻ってしまいそうだよ…

「何年ぶりです?弥生さん‥」
「匠くんが18の時だもの…もう10年になるはね…」

つい昨日のことのように思えるけど…もう10年か…

弥生さんは紛れもなく僕の初恋の人。
そして初めての相手であり、ずっと忘れられない人。

そんな大切な人があるべき場所に戻ってきてくれたような気がして、僕は人一倍感慨深く、また嬉しくなった。

「元気にしてたか?」
「あっ…」
もう一人、同じ気持ちであろう人がいた。親父だ。

「先生…」
弥生さんの瞳にみるみるうちに涙が溜まってきた。

「噂は聞いていたんだ…それでもずっと心配だったよ…」
弥生さんの肩にそっと手を置く親父…

「………ごめんなさい」
弥生さんは親父の胸に縋り付くようにして、ポロポロと涙を落とした…

親父の胸に顔を埋め、弥生さんは泣きじゃくる。
そんな弥生さんの身体を抱きしめ、親父は無言で頭を、肩を優しく撫でる。

「こういうとこを見て初めて知るんだね、お父さんが慕われる先生だったってのを」
「ホントだね」
葵と栞の言うとおりだ。
どんな人でも平等に、優しく接する親父の包容力には頭の下がる思いしかない。

「あらあら、思ったとおりだわ」
お袋もリビングにやってきた。

「さあさあ椿ちゃんの作ってきたお菓子を皆で戴きましょうよぉ!」
梓がトレーに人数分のアイスティーを運んでやって来る。

いつも人任せで、何もしない末っ子だと思っていたけど、女子力上げたんだなぁ。
テーブルでは啓くんが、スポンジケーキを切り分けていた。

…男が何もしない“亭主関白”なんて言葉は、そのうちに死語になるかもしれないね…

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