ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 640
「仕事じゃちょっと過激なものを穿かされるからな、家じゃ普通のを穿きたいんだよ」
「ああ、確かに、わかります」
「お前、梓とはうまく行ってるのか?」
「はい…」
そういえばあの時以来会ってなかったから、ちょっと心配になってたんだよな。
「柳ヶ瀬恋ちゃん…もちろん知ってるよな?」
「お兄さん、恋さんのこと…」
「ああ聞いたよ…啓くんと従姉弟なんだって?…」
「はい、母さんとアイツの母親が姉妹なんですよね…」
「アイツって…恋ちゃんはお前より歳上だろ…」
「あっ、そうですよね;…つい親しくなるとタメ語になっちゃうんですよね;…」
親しくなるって;…君は誰とでも親しくなり過ぎなんだよ;
「初めて会ったときはそんな関係だったとは知りませんでしたよ」
「君のお母さんと恋ちゃんのお母さんは双子の姉妹だったんだってね」
「それも後で知りました…」
啓くんの表情が浮かない。
「まだゆかりさんのこと、お母さんと呼べないのか?」
「なんだか照れちゃって、面と向かってはなかなか…」
そんなもんかもしれないよな…
「まあ、上手くやっているんなら、それでもいいんじゃないかな?」
急ぐことは無いよね…
「で、恋ちゃんとヤッた時は、従姉弟だって知らなかった訳だな?…」
「え、ええと…その、恋さんから教えてもらいまして…」
「教えてもらいながらもやったと」
「はい…」
うむ、啓くんがチョロい男なのか、恋ちゃんが策士なのか。
まあ、悪い関係じゃないからいいんだけどね。
「どっちにしたってうまくやってもらわなければ困るぞ、でなければ弟として認められまい」
「ちょ、お、お兄さん…」