ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 639
それでも陰毛を見ると、巧のことを思い出してしまう…
弟か兄かも分からない相手だけど、それでも自分に男の兄弟がいると分かって、悪い気はしなかった。
もしガキの頃から一緒に育ってきたとしたならば、キャッチボールやリフティング…時にはスケベな話しもしていたかもしれないよな…
僕は堪らずに巧という男に会いたくなった…
紆余曲折あって柏原家に引き取られた僕、彼は美恵子さんの手元に残り育てられた。
美恵子さんは彼を宗次郎氏に隠れて育てていたのだろうか?
そして、存在が明らかになってしまったがゆえに脱毛ということに…あくまで僕の妄想であるが、そんな風に考えてしまう。
おそらく彼は女とは無縁の生活を強いられていたのだろう、運命が違えば僕がそうなっていたかもしれない…
シャワーのお湯を止め、一息ついて風呂場を出た。
巧を思いながら陰毛をよく拭き、替えのパンツが無いのに気づく。
今まで掃いていた杏さんに洗ってもらったパンツは、エロ過ぎて掃く気にはならなかった。
仕方ないので腰巻きタオルでドアを開ける。
「あっ、お兄さん久しぶりっす!」
立ち上がり、笑顔を見せるのは啓だった。
またお前かよ;…
まあいい…今日はお前がいた方が、いろいろとゴマカシが効きそうだからな…
「そんなかっこして何してるんです?」
「シャワー浴びたのはいいけど、下着持ってくるの忘れて、ちょっと2階行ってくる」
まだ何か言いたげなのを無視してそのまま2階へ上がった。
自分の部屋に行って適当に下着を選んで穿く。
「お帰りなさ〜い」
「香澄ちゃん、ただいまー」
下のリビングでは香澄と妹たちが楽しそうに話し出した。
「下着の販売してるくせに、普段は案外普通のパンツ掃いてんすね…」
ギクッとして振り返ると、菓子袋片手に啓くんが立っていた。
うぉい;!…いつからそこにいたのさ;…
久しぶり来たくせに、コイツってほんと遠慮の無い奴だよ;…