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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 635

お袋とのことで親父がそうしてしまったことは僕にもよく分かった…
同じ立場だったら、僕もそうしていたかもしれないとも思えた。

それでも恋ちゃんのお母さんからしてみたら、そんなことは納得がいかなかったのもよく分かる…
結婚まで約束していた男が、いきなり教え子に乗り換えたのだから…

「恋ちゃん僕からも謝るよ…元はといえば僕がいなかったら、親父と恋ちゃんのお母さんは一緒になっていたんだから…」

「いえ、匠さんが謝ることはないですよ…お父様が私の母と一緒になっていたら匠さんも私もこの世に生まれていないでしょうし…そういう運命だと思うんです」
恋ちゃんは瞳を拭いながらそう言った。

「優子は、今も俺を恨んでいないか?」
親父が恋ちゃんに尋ねた。

「恨み言は聞かされました…でも母は、お父様としなかったことを…後悔しているんだと思います…」

「しなかったって親父…恋ちゃんのお母さんとは寝てないのか?!」

「ああ、今でこそ恋人になった2人が関係を持つのが当たり前だが、28年前のあの当時…結婚するまでは清い関係を保ちたいと願う女性はまだいたんだ…」

優子さんは奥ゆかしい人だったんだな…
恋ちゃんはどことなくゆかりさんに似たところを感じるが、優子さんもそんな感じなのだろうか。

「母はお父様のことを恨んではいます…しかし、同時に一歩踏み出せなかった自分にも苛立っていたのです…」
「そうか…でも責任は俺にあるんだ…」
「お父様からお話が聞けてよかったです、でなければ私はこの先ずっと勘違いして生きていっていたはずですから」
「恋ちゃんも、お母様にお伝えくださいね」
香澄が恋ちゃんの肩に手を置く。

「ありがとうございます。今日は帰ったらじっくり母と向き合ってみようと思います…」

香澄が恋ちゃんを玄関まで見送りに行き、僕は親父と2人になる。
なんだか気まずい空気の中で、親父が口を開く。

「すまんな匠…青山の一件の時に、ちゃんと話しておくべきだったのに…」

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