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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 627

「何だ何だ?そんなに畏まって…実の父親の件なら、もう全部話した筈だぞ…」
親父は考え込むように香澄の顔を見た。

「実は今日は、お父様のことじゃなくて…お母様のことでお聞きしたいんです…」
「操?…母さんのことなら夕方に帰ってくるから、その時にするか?…」

「いや親父…お袋に聞く前に、親父からちゃんと聞いておきたいんだ…」

「匠まで…」
親父は驚いたように僕らの顔を見比べる。

「母さんからも匠の生い立ちについては話したと言ってはいたが…」
「ああ、母さんからも聞いたよ」
僕の実の父親は和彦さんだってことはね。

「匠さんのお母様と同じ時期に、もう一人…鈴田美恵子さんも妊娠して入院なされたのは、事実ですか?」
香澄が親父に問いかける。

「あ…、お前たちは何を探り出そうとしているんだ!」
美恵子さんの名前を聞いて、親父は明かに動揺するのが分かった…

「探り出そうとしている訳じゃないよ!ただ本当のことが知りたいだけなんだ!」
僕は思わず声を荒げてしまう…

「…お父様…匠さんここのところずっと1人で考えて、悩んでいたんです…それでもう、お父様に聞くしかないところまで来てしまって…だから教えてください!…お父様とお母様…そして鈴田美恵子さんしか知らない秘密を…!」

香澄が強い口調で叫んだ。
こんな香澄を見たのは出会って以来初めてのことだ。
それほど僕のことを気にしてくれていた、その思いが非常に強く感じられた。

「香澄ちゃん、君も青山…お父さんから聞いたのか?」
「ええ…ですが、残念ながらあの人は私のお父様ではないのですよ」

「ああそうだったね…香澄ちゃんにまでこんな思いをさせてしまって…本当にすまない…」
親父は拳を握り締め、僕達に向かい頭を垂れた…

「親父…別に謝って欲しくて帰ってきた訳じゃないからさ…」
僕は親父の肩に手を載せ、擦るようにして背中を撫でた。

「ああ分かってる…今から全部話すから、ちゃんと聞いて欲しい…」

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