ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 614
杏さんの部屋を出て僕は香澄とエリカちゃんの部屋を目指す。
彼女もそろそろメイドの仕事で出るだろうし、ルームメイトの蘭ちゃんもお仕事の真っ只中のはず。
「僕にそっくりだったら、お見合いしていた?」
「そんなわけないでしょう」
香澄はきっぱり言い切る。
「私が愛しているのは匠さんだけです。たとえ見た目がそっくりでも他の人に気が起きることなどありません。私がそんな軽い女ではないのは…匠さんが一番ご存知でしょう」
「ああごめん;…香澄ほどの可愛い子が、僕とヤルまでバージンだった訳だしな…」
「はぁい〜、きっと神様が、匠さんとヤル為にストップを掛けていたのかもしれませんねぇ」
「ははは!それは神様に感謝しなくちゃいけないよな!」
「ですよぉ〜、これから先も男の人は匠さんだけで充分です…」
それって…深読みすると、女の子とはヤルってことなんでしょうかね;…
そんな会話をしているうちにエリカちゃんと蘭ちゃんの部屋に。
「ここですね」
「2人とは話したことないの?」
「挨拶する程度ですね、お二人は私が匠さんのお家にいた頃にここに雇われたというので」
「そっか…」
部屋の扉には鍵がかけられている。
エリカちゃんは早めにお勤めを始めたようだ。
「やっぱ勝手に入るのはマズイんじゃないか?…」
僕は香澄の握るマスターキーを制した。
「そうですよね…なんか気が引けますよね…」
「そうだよ、いくら家主だからって、これはある意味犯罪じゃね?…」
「キャぁ!…刑事ドラマみたいですね!!」
いや、楽しそうに言われてもねぇ。
でも香澄の言うとおり勝手に鍵を開けて部屋に入るのは良心が痛む。
それは香澄も同じ考えのようで。
「匠さん、私のお部屋に」
「香澄の部屋には何か手がかりになるものがあるの?」
「いえ、パソコンがあるので、何か調べられそうじゃないですか」