ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 610
ぱあっと明るい笑顔で茜が言う。
そんな可愛らしい顔を見ると、僕も嬉しくなる。
エレベーターが動き出す。
この間に誰も利用がなかったのが幸いだったと思う。
「では、またいつか」
「これからもよろしくね」
笑顔のまま、茜とは別れ、また一人に戻る。
これからどうしようか?…と思いながらも杏さんの部屋に向かう。
トレーニングパンツは借りれたけど、その下はずっとノーパンって訳にもいかないからね…
まあ、茜とみたいなことはこの先あるとは思えないけど、あんな小さいパンツでも、掃いてないよりマシだもんな…
杏さんの部屋に向かい、無造作に置いたままだったインナーを手に取る。
一応鍵をかけておいて、はき直して…
…結構激しいのやっちゃったから、シャワー借りようかな。
杏さんには後で言っておこう。
脱衣所に諸々を置いて、シャワーを浴びる。
まだ具体的に僕が使う部屋は決まってないから、誰かのを使うしかないんだよね…
脳天からシャワーを受け、汗と精液とで憂いを帯びた身体を洗い流す。
陰毛にこびり付いた精液はまだ乾いてはいなかった。
そこに勢いを持った水流を当てると、それは湯に溶けることなくヌルっとした感触で内股を伝い、排水口に飲み込まれていった。
僕は自分のコレを口にしたんだ…
そう思うと吐き気を覚え、シャワーのノズルに向かい大きく口を開いた。
いくら無味だと言われても、自分から出たあの塊を口にするなんて普通思えない、ありえないわけだし…
どう見たって汚いと思ってしまう。
ただ…それが香澄の身体に入って、新しい命が宿ったのは、紛れもない事実なのだ、が。
口を濯いで、シャワーを身体に浴び終えてお湯を止める。
朝からたまったものが洗い流せてすっきりした気分だ。