ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 609
ゾクゾクとしたその感覚は、勃起した時とは全く違ってこそばゆい…
慣れない僕は、撫でる頭を持ち上げ、その憂いを帯びた唇にキスをする…
鼻に着く特有な臭いが口いっぱいに広がり、それが自分の発した精液だと分かり、僕は慌てて唇を離した。
「クスッ…タンパク質だけだそうだから…大丈夫ですよ…」
茜はニコッと笑い、再び唇を近づけてきた…
そのまま茜と唇を重ねる。
精液のせいで多少べたついていたが、彼女のほうは抵抗もなく僕と深いキスを求めてきた。
僕もその思いに応えてあげた。
「あぁ…」
「いつまでもこうしてるわけには行きませんね」
「そうだね…」
後ろ髪を引かれる思いで服を着る…
そうしながらも何度も唇を合わせ、吸い合い、舌を絡めた…
「匠さんと出来て…幸せでした…」
茜は涙ぐみながら言った…
「僕もだよ…茜に会いたくなったら、屋上に来ればいいんだな?…」
僕はそう言いながら、またキスをした…
「いつもいるとは限りませんが、是非、いらしてください」
潤んだ瞳で、茜はそう言った。
「僕も、いずれはここに香澄と住もうと思ってるんだ」
「はい、聞いています。楽しみにしてますね」
茜のさらさらの黒髪を梳きながら、余韻に浸る。
「お嬢様、ソレに弥生さんには、内緒ですよ」
「もちろんさ」
弥生さんにもか…
やっぱりこの家での弥生さんの影響力は、絶大なるものがあるんだろう…
「またこうして会いたいよ…茜のこと、僕は何も知らないし…」
「はぁい!…私ももっともっと匠さんと親しくなりたいです。」