ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 591
「ここの施設は防音がしっかりしてるし、きっと大丈夫だよ」
「えっ…でも…」
「もしそうじゃなかったら、今頃誰かが飛んでやってくるんじゃない?」
「た、確かに…」
今はただ、エリカちゃんの声と身体を、存分に楽しみたい。
僕は部屋の中を見渡す…
…気になったのはこの部屋の中にカメラがあるか、だ。
いや、確かにエリカちゃんと…なんだけど、いざそう思ってると気が引けてしまう…男としてどうなんだろう。
「どうしました?匠さん…」
エリカちゃんが首をかしげる。
「う、うぅん、なんでもない…」
僕はもう一度エリカちゃんとキスをする…
一旦芽生えた躊躇心は、僕の中で大きくなっていく;…
このままエリカちゃんとヤッて…本当にいいんだろか?…
エリカちゃんはこの家のメイドであって、それは結婚が決まる前に関係を持ったメイドちゃんたちとは違う気がした…
桜ちゃんや萌ちゃん、それに純ちゃんなどとは何かが違う。
エリカちゃんが青山家のメイドになった経緯もそうだが、それ以外にも僕を思い留まらせることはたくさんあった。
あれだけ興奮していた股間の高ぶりがなくなりつつあった。
やはり、ここでは無理なんだ…
当然エリカちゃんに密着している部分が力を無くしていくのだから、僕の動揺はエリカちゃんにも分かってしまう…
それでもそれを察したのか、僕の背中を抱きしていたエリカちゃんの手の力は、段々に弱まっていった…
「なんかここまでヤッておいて…ゴメン…」
僕は素直に謝る…
理由はどうであれ、男の自分が悪いと思えた…