ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 566
そんな;割礼とか受けてはいませんからぁ;…
「僕のは至って普通だから、特別な特徴なんて何もないよぉ;…」
「あらぁ、今さら恥ずかしがることもありませんよぉ。エリカにも見せてあげてくださいよぉ〜」
蘭ちゃん;…確かに君には、見せてはいけない処まで見られちゃったんですもんね;…
「ごめんなさい…変なこと言ってるのは重々承知しているんです、でもどうしても見せて頂きたいんです…」
エリカちゃんは真剣な表情で僕を見上げてきた…
「本当に、それでわかるの?」
僕のその問いかけに、エリカちゃんはコクリと頷いた。
…隣の蘭ちゃんは何か楽しそうだが、エリカちゃんは真剣そのものだった。
そうまで言われたなら、こちらも意を決するしかないだろう。
そこを隠していた手を退けた。
エリカちゃんは視線をそらすことなく真っ直ぐ、僕を見つめる。
そして言う。
「…どうやら、私の勘違いだったみたいですね」
伸ばす指先で、ぷっぅ!と…「い、痛てぇ!」
エリカちゃんは僕の陰毛を一本抜いた。
「これはイミテーションじゃないですもね…」
指先を見詰めるエリカちゃんを見て、そういうことかとやっと分かった。
布団の上に置きっぱなしになっているフォトフレーム…
中でピースを掲げる鈴田巧は、この時既に下の毛を処理されていたんだろう…
「そうですか、すみませんでした…あなたは、私が知ってるタクミさんではない匠さんなんですね」
「まあ、そうなるね」
「…ちょっとエリカ、何いってるかわからない」
蘭ちゃんだけやり取りについていけない様子。
「話すと長くなる…もうちょっと余裕のあるときに」
エリカちゃんはベッドから抜け出した。
「ごめんエリカちゃん…僕はちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
僕が鈴田巧では無いと分かり、明らかに落胆するエリカちゃんに言わずにはいられなかった。
「そ、それじゃ…私はパンケーキ食べに行くね;…」
ただならぬ空気を感じたのだろう…蘭ちゃんが気を効かせてくれるのが分かった。
「ゴメンな蘭ちゃん…このお礼は必ず…」
僕は蘭ちゃんに向かい、拝むように手をあわせた。