ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 493
「ええ、トップアスリートのトレーニングにも関わるような方もいますね」
「そんなにすごい人も?」
「まあ、お嬢様の体育の先生でもありますね」
そんな人を先生にするとは、やっぱり次元が違う。
「インストラクターって女の子?」
「もちろんです」
ウヒョイ!
そんなことなら、早くに利用しとくべきだったね。
「やだぁ匠さん〜なんか鼻の下、伸びてません?」
「そ、そんなこと無いよ;…僕はだな、単純にどんな子かなって思っただけで;…」
「ふふ、無理しないでいいですよぉ。彩乃先生はめちゃくちゃスタイルいいんですよぉ〜!」
…ああ、彩乃さんっていうんですね、そのインストラクターの先生。
「匠さんも気になるのでしたら、一度フィットネスの方に行ってみてはどうでしょう」
「うん…考えとくよ」
そんな感じで、食事を終えた。
僕は弥生さんと杏さんと一緒に食材の買い出しに行くのだ。
道すがらモーターサイクルに載った女性と擦れ違う。
野球帽を目深に被り、ミラー状のサングラスを掛けていた。
かっこいい人だ…
「あ、あの人が彩乃さんよ!」
杏さんが軽くクラクションを鳴らすと、その人は止まることなく片手を軽く揚げ、風のように青山家の敷地内に入っていった。
「かっこいい方ですね」
「ええ、私もそう思います」
僕らはそのまま、買い出しをするスーパーへと向かう。
「そういえば匠くん、私に聞きたいことって何なの?」
「ええ…その、弥生さんと杏さん、鈴田美恵子のことは知ってますよね…?」