ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 467
「はい、柏原様ですね。伺っております」
受付嬢は満面の笑顔で答える。
「奥の会議室でお待ちになっていてください」
「ありがとうございます」
案内され、商談ルームの小さな会議室に入って数分ほど。
ドアをノックする音がした。
「お待たせいたしました…スズタコーポレーション企画開発部の三枝美咲と申します…」
どう見ても年下の美少女が現れた。
「あ、ど、どうも…本日はお時間頂きありがとうございます!…」
僕は正直、面食っていた。
こんなに若い子が出てくるとは思ってもいなかったのだ。
「いえ、わざわざお越し頂きこちらこそです。
ちょうど弊社の手薄となっております男性用下着分野を強化しなければと、上と話していた所なんですよ…」
気さくに話しながらも、見た目に寄らずしっかりしてるんだな…
その後も三枝さんとの商談は進んでいく。
これまでとは違い、かなりしっかりした、突っ込んだ話もある真面目な商談。
雑談も入るところがない。
そんな時、三枝さんが一枚の紙を出す。
それは、僕がモデルになって撮影した新商品の紹介写真だった。
「うぁ;!…それどこでぇ?!…」
思わずタメ語になってしまう…
「この業界って、広いようで案外狭かったりするんですよ…」
他社にプレゼンした時に提出したものが、周り回って三枝さんに来たってことなんですね;…
「お会いして驚きました…柏原さんはモデルもなさるんですね…」
「あ、いえ;…プロのモデルを雇う程の予算が出ないもんで;…」
「そうなんですか…身体張りますねぇ…」
「ええ、ウチの部署、男が僕しかいなくて…」
「あー、なるほど…我が社もこれやってみましょうかね?」
…興味津々の三枝さん。
真面目だと思っていたけど、このへんはウチの年下女子と変わらないね。