ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 44
うーん…
「ごめんなさい、役に立てないみたいで」
「いや、いいんだよ」
僕と啓くんが風呂を出ると、今度は女性陣の番のようだ。
「ごめん、お袋」
「何?」
「親父が脱衣所で寝ちゃった」
「まー…仕方ないわね」
苦笑いしながら、お袋は脱衣所に向かった。
肝心なことは直接本人に聞くのが一番だよな…
香澄ちゃんが風呂から上がってきたら、僕の部屋で聞いてみるか…
「あっ匠ぃ〜!今晩、あんたの部屋に啓くん泊めてあげてぇ〜」
…あ、はい;。。そうくるんですか…
やっぱ、啓くんが梓の部屋って訳にはいかないのね。
香澄ちゃんは葵、栞、梓…どの部屋でも選び放題かぁ…
…まあ、妹たちとだったら、誰と一緒でも上手くいくとは思いますけど…
「ということらしいので」
「すみません」
頭を下げる啓くん。
お互い、女の子に振り回される役回りだろう、彼とは気が合うかもしれない。
啓くんを部屋に招き入れる。
…ジュースを持っていこうとすると、風呂上りらしい葵に呼び止められた。
…クス、化粧落とすと、子供ん時の顔のまんまじゃんかぁ〜…
「何ニヤついてんのよ!匠兄ぃが久しぶりに帰ってきたのに、高校生のお守なんて可哀想だと思ってあげてるのにぃー!」
…まあ確かにだけど、啓くんは昼間、ヤルことはちゃんとヤってた"大人"ですがね・・・
「まあ仕方ねーだろ。それに暫くはこっちにいるつもりだしな。」
「よかったぁ〜!じゃあ明日の晩は、朝まで飲み明かせるねぇ」
「あ、はい・・」
ビールを差し出す葵…
…あれ?今、明日の晩って言いませんでしたっけ?
…あ、葵は親父と違って、酒豪だったんだっけかぁ〜;
…お袋は酒に強いらしいから、女性陣が受け継いでいても何らおかしくはないか。
「香澄ちゃんは誰の部屋で寝るんだ?」
「栞か梓かどっちでも受け入れるよ」
楽観的ですねぇ。
「はいっ!」
「おう」
缶ビールを1本渡される。
「お前も酒のむんだなぁ」
「週末だけの楽しみだよ」