ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 423
「ふっふふ、匠くんはアレだもんねぇ」
洗い場で手を動かしながら弥生さんがニヤニヤして言う。
…そういえば、弥生さんにも見せてしまいましたっけ?
「操はお酒強いんだけどなぁ、一緒に飲んで、呑まされて、潰されて放置されたことがあるのに」
ああ、お袋は強いって聞いたことがある…
弥生さん、そんな酷い目にあったことがあるんですか…
まあ僕も友達と飲んでいて、気がついた時には一人ってことはよくありますがね;…
僕が酒に飲まれてしまうのは、もしかしたら和彦さんの遺伝なんだろうか?…
「和彦さんは、結構飲まれるんですか?…」
「そうねぇえ、強いって程では無いけど…食卓にワインは欠かせないはね…」
…そういえば、和彦さんとは初めて会ったときに一緒に飲んだっけな…よく覚えていないんだけど。
それでも、和彦さんにはビールよりもワイン、もしくはウイスキーやブランデーが似合う気がする。
ああ…でも結構早くに顔は赤くなってたなぁ。
やはり何やかんや言っても、僕は和彦さんに似ているのかもしれないよな…
多分、女性に振り回されてしまう気弱なところも;…
近いうち、香澄もメイドちゃんたちも無しで、和彦さんと男2人で、腹を割って飲みたいよな…
もちろん涼香さんのことも聞きたいけど、それよりもこれからのことも相談したいしな…
―食後、香澄はメイドちゃんたちとホームシアターで映画を見ると言って部屋を出て行った。
僕はさして興味もなかったし、香澄とメイドちゃんたちと一緒の時間を作ったほうがいいと思い、そのまま留まった。
「あら、匠さんお一人?」
「…ああ、そうだよ」
白峰雪乃ちゃん(25歳、メイド歴2年半)。
彼女も青山家メイドの一人。
しかし今日は非番なのか、雪ちゃんは私服姿だった。