ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 422
もしかしてこの家で暮らすことになったら、僕の出る幕は無くなりそうな気もするよな…
互いに性欲はメイドちゃんたちが満たしてくれそうだし…
2人っきりになれる機会も、なかなかありそうも無いもんな…
そうやってすれ違い生活が続き、互いの思っていることも分からなくなっちゃいそうだもんな…
「匠さん、はい、あーんしてぇー」
椿ちゃんがこちらにフォークに突き刺したから揚げを差し出してくる。
「おっと…匠さん、こっちもあ〜ん…」
萌ちゃんも追従してローストビーフをこちらに。
「あ〜!萌ちゃんも椿ちゃんもズルいですよ!匠さんにそれをするのは私が…」
ムキになる香澄。
前言撤回、案外僕にも誘惑が多そうですね。
皆が次々と『あ〜ん』させてくれ、僕はナイフもフォークも使うことなく腹一般になっていた;…
もしかしてこれって、産まれとくる子供にとってはよくないんじゃないか?…
椿ちゃんはじめメイドちゃんたちは、僕の子供を人形のように扱うに決まっているよな;
ナイフやフォークどころか、箸も使えない子供になりかねないよね;…
「ふふっ、匠くんったら赤ちゃんみたいね〜」
弥生さんがクスクス笑う。
…およそ10年前でしょうか、あなたにもされた記憶がありますよ。
やがてお皿の上は空になり、弥生さんが後片付けを始める。
香澄ら一部の方は食後のデザート…別腹なんですね。
その甘い品々も、やはり『あ〜ん』と共に、僕の腹に消えていく;…
「くすくす…匠さんってお酒も強いのに、甘いものも好きなんですね〜」
「あ、うん…でも酒は強くは無いぜぇ;…」
夏子さんの前での失態が、頭の中蘇った…