ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 405
「あ、貴方ねぇ…いくらムシャクシャしたって、女の子にそんなこと、最低の男だってわかってるの?」
ゆかりさんがまくし立てる。
怒るのも無理はない、無理矢理なんてのは女としては絶対に望まない行為だろう。
「…ごめんなさい」
啓くんは俯いて短く答えた。
そんな啓くんを抱きしめるゆかりさん…
ゆかりさんがこうでもしてくれていなかったら、僕は啓くんを殴っていたかもしれないと、2人を見詰めた…
「ごめんなさい匠くん…啓が妹さんに酷いことをしてしまって…」
「あ、いえ…許されないことですけど、啓くんの気持ちもわかりますから…」
僕は弥生さんにフラれ、その夜酔った勢いで遥さんを襲ってしまったあの時のことを思い出した。
…男って、弱い生き物だな。
そんな風に考えてしまう。
「…私こそごめんね、啓、貴方の気持ちに気付いてやれなくて…」
すすり泣くゆかりさん…
いろいろあるけれど、この2人は絶対うまくやれる、この出来事を踏まえて、僕はそう思った。
その後ゆかりさんの提案で、夕飯準備の間、男同士お風呂に入る。
ゆかりさんは僕にゆっくりと、啓くんの話しを聞いて欲しかったんだろう…
「お兄さん…ホントすみません…」
洗面所で服を脱ぐ僕に、啓くんは頭を下げた。
「僕はもういいから…ちゃんと梓に誤れ!」
全裸になった僕は、啓くんの頭をガシガシと掻き回した…
「は、はい…」
啓くんはまだ俯きながら、服を脱いで風呂に入る。
そういえば、梓の奴、散々泣いてたのか、目を真っ赤にして帰ってきた日があったな。
それが啓くんのいう『無理矢理』だったのかな…
「夜遊び、してたのか?」
「はい…なんか心寂しくて…」