ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 402
「だから…少しでも長く啓の側にいたいのよ…今までの罪滅ぼしをさせて欲しいの…」
「ゆかりの気持ちも分かるよ…一度は捨てた我が子とまた一緒に暮らせたんだものね…、啓くんが傷ついているのなら力になりたいと思うのは当然だはね…」
夏子さんが感慨深気に言う…
「僕もそう思いますけど…啓くんはどう思っているんでしょうか?…」
僕の問いに、夏子さんが腕組みして
「そうね、問題はそこよね…」
ゆかりさんはそれに対し
「あまり私の話に乗ろうとしないな…たぶん、啓もまだ迷ってると思う。私も…だから、もう少し時間が欲しいの…」
「それだったら、辞めるだなんて言わないで、まずは休職願いでもさ…その間の仕事は私たちで何とかする。簡単にやめるって言わないでほしかったな…」
「ごめん…夏子…」
ゆかりさんも夏子さんも、声が震える。
この部署はゆかりさんと夏子さんと2人で立ち上げてきたのだから、夏子さんが怒るのも無理もない…
「もしよかったら僕…これからゆかりさんの家へ行ってもいいですか?…」
ここは僕が啓くんと話しをするしかないと思った…
「もちろんだは…そうして貰えるとあの子も喜ぶは…何たって匠くんは啓にとってはお兄ちゃんなんですもの…」
お兄ちゃんかぁ…
すっくりそう言われるようになってしまったなぁ。
まあ、梓にも啓くんにも幸せになってもらいたい、そして、ここの部署の皆さんにも…
そう思うと、多少大変でも僕が一肌脱がなくてはいけない(酔っ払って全裸になることではないですよ)
定時になるのを確認して、僕はゆかりさんについていく。
「啓から匠くんのことも聞いたは…大人たちのせいで…ごめんなさい…」
2人になったところでゆかりさんは僕に向かい頭を下げてきた…
「あ、そんな…僕と和彦さんとのことはゆかりさんには関係ないですから…」
まあ涼香ちゃんとのことではハラハラとさせられたんだけどね…