ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 390
「へぇ〜そうなんですかぁ〜」
それに受け流すしかない僕。
いや、夏子さんの言葉が耳に届いているかすらも怪しい。
「うふふ…今日はとてもいい日だわ…」
嬉しそうに目を細める夏子さん。
その素敵な笑顔を横目で…見ながら…僕はいつの間にか意識を手放していた…
……………………
ん?
見覚えの無い照明器具…………
背中に感じるシーツの感触も、身体が覚えているものではなかった;
やべぇ、またやっちまったよ;
ここ最近は気をつけてはいたのだけど、啓くんとゆかりさんとのことが嬉し過ぎて、つい自分の体質を忘れてしまったようだった;
何所だよここ?
ポリッと胸元を掻いて、自分が裸のことに気づく;……
…夏子さんの目の前でこうなるとは、こんな情け無い部下でさぞかし幻滅したのでは…心配になる。
…しかしそれよりも、ここはどこだろう。
部屋の感じからホテルではない…もしかして…
ガチャ
部屋のドアが開く。
「目が覚めた?大丈夫?」
夏子さんの声だ。
「あ、すみません;…」
何をしたかも分からないけど、絶対誤っておくべきだよね;…
「ふふ、私は楽しかったから構わないよ…目の保養もさせて貰ったしね…」
やべぇ!
慌てて布団の中に手を突っ込み確認する…
…;
やっぱ…誤っておいて…よかったよ;
やってしまった…
しかも相手は職場の上司だ…
完全に自業自得だが、もう何やってんだと自己嫌悪に陥る。
「…あの、ここは?」
「うん、私の家だけど」
「ええええ!?いいんですか!?酔っ払った男連れてきて…」