ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 38
…まあ実際、香澄ちゃんがお眠りの間にいろいろと考えたことはある。
『無理矢理犯して脅して服従させる』というエロゲー的思考さえ思い浮かんだが、それではダメだ。
…僕にそんなことができる度胸はないし、何より香澄ちゃんが可哀想だ。
ち○この話はスルーして、ちょっと香澄ちゃんの本性を探ってみたくなった。
「香澄ちゃんさ」
「はい」
「友達が出来ない理由、自分ではどう思ってる?」
「怖い顔してるからぁ〜、匠さん怒っちゃったのかと思ったぁ〜」
…だから、僕の質問をスルーすんなよ。
「別に怒ってなんかいないさ。ただ…香澄ちゃんに友達が出来ないの、分かるなって思った…」
チラリと香澄ちゃんを見る。
笑顔は消え真剣な表情…、だからといって泣き出すような気配もなかった…
香澄ちゃんは僕の言葉に、完全に固まっていた。
「…っはは」
香澄ちゃんが笑った。
…それは、今までのような明るい笑顔ではない、どちらかといえば自嘲気味の笑顔。
「さすが、匠さんは大人の男性です」
…そんなもんでもないけどね。
「私、ホントはクズで根暗でオタクでどうしようもないダメ女なんです。だから友達なんて出来ない。友達を作りたくても、家庭背景はすでに噂が広まっていて、私に近寄る人はいません」
香澄ちゃんは、悟りを開いた修行僧のようだった。
「だからたまに、無理して変なキャラを装うとするんですけど、やっぱりダメなんです。自分でやってて胃がズキズキ痛むんです」
肩を落とす香澄ちゃん…
…僕は聞いてはいけなかったことを聞てしまって、自己嫌悪…
…沈黙
…気まずい空気…
「ありがとうございます〜」
…へ? 何で僕にお礼言ってるの?
「匠さんのこと…ますます好きになっちゃいました‥…」
…ううう…なんていい子なんだ君は…
「心配しないでください。私は、今の私も好きだし、こういう環境だって慣れてますし…」
「でも、友達は欲しいんでしょ?」
「うー…匠さん、ちょっと意地悪です…」
「いや、まあ、焦らなくても良いよ。まだ高校生なんだからさ」
栞や梓は友達と呼んでもいいのだろうか?