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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う
官能リレー小説 - 年下

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ほんの少しの勇気で人生って変わると思う 370

「あれから20数年も僕は逃げてきたんだ…いくら責められたって、蔑まれたって仕方ない…」
和彦さんの声が、肩が震える。
「先生にも、いずれ謝らないといけない」
「そこまで言わなくても…あの人は、いつか全て話せたら一緒に酒でも飲もうって言っていたから…」
「そうか…」

親父の偉大さをしみじみと感じた…
和彦さんを前にしながらに、僕は親父に育てて貰って本当によかったと思う。

それでも僕は、自分の恥部をここまで隠すことなく打ち明ける和彦さんは凄い人だと思った。
これが僕やお袋に対しての、和彦さんなりの誠意なのかもしれない…

「酒飲みに行く時は、僕も誘って下さいよ…和彦さんとだったら高い酒気兼ねなく飲めますもんね!」

「ああ、もちろんさ」
和彦さんがニコッと笑った。

「もう…匠も、父さんもお酒弱いんだから、迷惑かけない程度にね!」
つられてお袋が言う。
和彦さんが来てから表情が硬かったお袋も、ようやく自然に笑ってくれた。

「ありがとう、匠くんも、改めて香澄に会って欲しい」

「はい、実はいろいろ考えちゃって…暫く会っていないんです…」
頭を掻きながら、僕は照れた。

「あらっそうなの?…だったら直ぐに会いに行って来なさいよ!…」
どこまで分かっているのか?…お袋が僕を囃し立てる。

「そうして貰えるなら香澄も喜ぶ。迎えの車を寄越すから、一緒にどうだね?…」
どうだねって…そこまで言われて、断れませんって;…

そう言われて十数分後、僕は和彦さんと迎えの車に乗って青山家のお屋敷にやってきた。
…さっきの話の後だと思うとなんだか緊張する。

「香澄は自分の部屋にいると思う」
…どの『自分の部屋』なのだろう。

「お嬢様の部屋でしたら、私がご案内しますよ」
そこに桜ちゃんが現れた。

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